カイと猫のバンコク珍道中

初めて海外に降り立った日

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」

 

 

あれは忘れることは無い東日本大震災が起きた年のことです。

当時茨城県で働いていた僕は初めて被災しました。震度7の揺れ、電気水道は止まり恐る恐る車で家まで帰ったことを今でも覚えています。

母は出張で埼玉に行っており連絡はつきませんでした。他の家族は茨城にはいなかったので(東京、群馬、愛知に住んでいた)家の中の散らばった食器の破片やCDなどを片付け、車の中で寝たんだったな。

 

次の日母は無事帰ってきました。

職場は当分休みになってしまったのと、新たに出店する計画が地震の影響でだめになってしまったので無気力になり退職。

なんとなく2ヶ月ほど何もせずに過ごしました。

 

次の仕事はどうしようかと考えていた時母親が

「せっかく時間があるんだから海外旅行でも行ってみたら?」

なんていうものだからその気になって行くことに。

確かにまだやったことないことがたくさんある、その一つの海外で違う文化を体験するということをすぐに実行することにしました。

 

行き先はなんとなく敷居が低そうなタイのバンコクにしました。

(姉と兄がすでに行ったことがあったため)

 

当時26歳にもなって母親にお小遣いをもらい初めての海外、タイへ。

 

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こんなに興奮したのはいつ以来だっただろうか?

独特な空気の匂い、聞いたことのない言語。

もっと勉強してから来るんだったと少し後悔しました。

スマホもまだ持っていなかったもんなあ。

 

 

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なんとか入国しタクシーで中心部へ。

バックパッカーではなかったのでそこそこいいホテルに5連泊、さらに違うホテルに4連泊。

今考えるとなんてことはないんだけど当時は本当に感動しました。

世界は本当に広かったんだなあと。

 

 

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当時はバンコクも今よりもっとゴチャゴチャしていたので、そこら中に屋台がありましたし道が汚かった。

本当にタイ語がニャーニャーとしか聞こえなかった。

何を食べても美味しかったしどこに行っても新鮮でした。

とにかく楽しくて毎日歩き回ったのがいい思い出です。

 

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当時オンヌットに、タイ人バンドが演奏しているのを観ながらお酒と食事が楽しめるローカルなナイトマーケットがあって、見つけてからは毎日夜に通いました。

(今はセンチュリーというモールになってしまいました)

言葉もわからないし適当に料理を頼んでオロオロしている東洋人にタイ人は優しくしてくれたのを今でも覚えています。

 

その旅行でのちょっとした出会いがきっかけで、帰国した2ヶ月後タイで働くためにバンコクに戻るのですが、今考えてもよくあんな行動力があったなあと思います。

 

なぜ震災であんな無気力になってしまったのかいまだにわからないけど、

「微笑みの国」のおかげで僕が生きかえったことは間違いないでしょう。

 

そんなタイに導いてくれた母親に感謝しています。

 

その母も後にタイに完全にハマり、毎年遊びに来ることになるんですけどね。笑

 

今ではタイのバンコクはかなり綺麗な街に変わりましたが、あの日タクシーを降りて初めて感じた異国の香りは、これからも忘れることは無いでしょう。

 

そして早くコロナウイルスが収束し、街に活気が戻ることを願っています。